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●儲けちゃいけない教室事業
「決して儲けてはならない。ある意味破天荒なテーマを掲げてスタートした教室事業の狙いは、面と向かって子どもたちと学ぶ機会を設けることだったのではないでしょうか」。
そもそもZ会は添削をやりたくてスタートしたわけではない。創業者がハンディを抱えていたため、ほかに子どもたちと接する手段がなかったから添削にたどり着いたのだ。できるなら子どもたちと直にふれあいながら、自分たちの教材の内容や教え方を確認したいと考えるのはごく自然な流れである。
教室展開は添削システムをブラッシュアップするためのモニタリング機能として社内では位置づけられていたのだろう。メーカーで言うところのいわゆるアンテナショップ的なポジショニングである。
「ところが儲けちゃいけない組織なんていってられるほど悠長な時代じゃない。私が担当になってからは独立採算制で行くぞと。給与体系は本社と同じにするけれども、ボーナスは業績に応じて出すからと宣言しました」。
すると次の期からあっさりと利益が出たという。つまり教室事業は利益を出せない体質だったわけではなく、子どもたちの様子を見たり教材を検証するための人員にコストをかけていただけで、事業単体としてはいつでも利益を出せるだけの体制は整えられていたのだ。教室で提供される教育内容が、子どもたち引いてはその保護者たちから十分に支持されていたからこその結果である。子どもたちと非対面で進める通信教育で培ってきたノウハウは、子どもたちの反応をダイレクトに掴める対面授業なら当然、より効果的に活用できたのだ。
また今後の展開を考える上でも対面授業で得られるノウハウは極めて重要な要素となっているようだ。「インターネットを使えば音声も画像も文字データも、さらには映像もすべて送ることができるようになります。その上、リアルタイムな双方向性も実現されている。教室でやっていることをネット上で展開できるわけです」。その延長線上でZ会がいま開発を急いでいるのが「いわゆるWeb2.0時代にふさわしいe-Learning、これを我々は『ソリューション』と呼んでいます」と加藤社長は次の展開を語る。

●あくまでも「教えたい」にこだわりたい
『ソリューション』とは何か。そもそもZ会が提供している価値は、添削システムそのものではない。顧客にとっての価値とは、志望校に合格することにある。顧客である子どもたちが置かれている環境は一人ひとり違う。それをこれまでは通信添削というある意味、地域性を問わない最大公約数的な手段でサポートしてきたわけだ。
「そこでWebを使えば、もっと個別に最適化された教育ができますね」。
キーワードはハイブリッドとオンデマンドである。通信教育と対面教育の良いところを組み合わせるのがハイブリッドだ。仮にこれを合体と意訳するなら郵便と朱書きを組み合わせて当時としては画期的な通信添削を立ち上げたZ会創業時の再現でもある。
またネットを活用したオンデマンドの基本的な考え方は、必要なときに必要な場所で必要としている難易度の教材を必要としている分量だけ提供するというもの。印刷物のように内容やボリュームが固定されたメディアではなく、ネットを使えばこそ実現できる教育サポートである。
その『ソリューション』の対象はどこまで広がるのだろうか。たとえばあらゆる業界から有望マーケットと狙われている団塊の世代をZ会はどう見ているのか。この問いに対して加藤社長からは明確な答が返ってきた。すなわち「要は団塊の世代の方々に対して我々には『教えたい』ことがあるのかと。心の底から教えたい、これだけは学んでもらいたい。そう思えるテーマがあるならやればいいと社員には言っています」。
単に団塊世代がマーケット的にボリュームがあるから、ビジネスになりそうだからというだけでは絶対に手を出さない。その考え方は本末転倒ではないかというのがZ会のポリシーである。日本で培ってきた通信教育のノウハウを海外展開してみては、という問いに対しても加藤社長からは同じ答が返ってきた。
そこにマーケットがあるから、では決してなくて。そこにいる人たちに「教えたい」気持ちありき。これが創業者以来脈々と受け継がれてきたZ会のDNAである。「教えたい」気持ちを純化させ、合理的なシステムとして構築し、常に時代に合わせてブラッシュアップを重ねる。たゆまぬ努力の結果が、東大・京大合格者のほぼ半数がZ会出身者という驚異的な実績につながっているのだ。
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- 1. 「教えたい思いが生んだ添削システム」
- 2. 「限られたお客様に最高のサービスを」
- 3. 「一期一会の精神で子どもたちと接する」
- 4. 「教えたいがZ会のテーマ、これまでも、いつまでも」
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